高浜行人
首都圏で中学受験熱が高まるなか、新たな「リスク」が生まれている――。受験事情に詳しい「森上教育研究所」の森上展安代表は、そう指摘する。新たなリスクとは。森上さんが提案する対処法とは。
同研究所の調査では、首都圏の中学受験のピークである2月1日の午前、東京・神奈川にある私立中を受けた人数は4万3千人超と過去15年間で最多。1都3県の公立小の全6年生の人数を分母としたときの受験率は15・0%で、こちらは過去最高となった。
森上さんによると、以前の中学受験は、学力上位層が難関校に挑戦するのが主流だった。だが、中学受験が広まり、上位層に限らず多くの子どもが挑戦するようになったことで、「有名校に挑戦させたい親の意向を受け、子が苦しむケースも少なくない」という。
「実力を大きく超えるレベルの学習は本人にとって楽しめず、意欲がそがれがち。勉強自体が嫌いになってしまうリスクもある」
また、進学後にミスマッチが生じるおそれもあるという。親の意向で受験した学校に合格できず、進学先を不本意に感じて不登校につながったり、親が望んだ有名校に何とか入れたとしても授業についていけず、退学につながったりといったケースもあるという。
中学受験をするかどうか判断する際に必要なこととは。森上さんは「本人が無理なく受験に向けて勉強できるか、保護者が有名校以外にも目を向けられるかなどをよく勘案し、塾などの話も参考にしつつ、最終的には家族でしっかり話し合って決める必要がある」と話す。(高浜行人)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル